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ニッコーさんの液体ガラスは、無機なので耐候性が高いものです。木に染み込んでこそ効果があるのですが、接着剤をつかった場合、接着剤を塗った面の木には十分に染み込まず、仕上がりが違ってきてしまいます。
接着面の工夫
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このハトの木彫は、この接着面に色の濃いラインが残ってしまいました。タッチして手に触れるところなので、一番目立ってしまいます。これをなんとかなくしたいと思い、その原因を考えてみました。
ここに使った接着剤は、ゴリラグルークリアというもので、ホームセンターで購入しました。主成分は「変成シリコン」という素材です。液体ガラスは、その塗装工程で80度のお湯に4時間ほど浸す必要があるので、耐熱温度をポイントに選びました。ゴリラグルーは82度まで耐えられます。ギリギリすぎるのでもう少し耐熱温度の高い接着剤がよさそうですが、それは大きな原因ではなく「変成シリコン」成分が木目に入り、そこに液体ガラスが染み込まなかったように思われます。そしてそこは防水・防カビ効果が十分でない可能性があります。
そういえば、天気によりますが、雨のあと晴れて湿気と乾燥を繰り返した日に、接着面に隙間が出てきてしまいました。湿気を吸って木が少し変形し、乾燥するときに接着剤が剥がれてしまったような、ほんの少しの隙間ですが光にかざすとわかります。しばらく天気が落ち着くと、この隙間はなくなったのですが、おそらく木が水を吸っているのでしょう。
違う方向から考えると、そもそもこの液体ガラスは針葉樹用に開発されているので、広葉樹で制作したこのハトに使うのは最適ではありません。メーカーによると広葉樹にも効果はあるが、針葉樹ほどではないということでした。広葉樹は針葉樹に比べて道管の密度が高いので、塗料が染み込みにくいと考えられます。
改良できるか実験
まず、針葉樹のヒノキをつかってハトの木彫を制作し、次に研修中にいただいたヒントをもとに接着実験をしてみることにしました。そのヒントとは「専用の接着剤を開発中で、まだ販売には至っていないけど、液体ガラス塗料と同じ成分なので、塗料が接着剤にもなるかもしれません」というようなお話だったと記憶してます。
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ヒノキをCNCで切削しています。
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接着面をイソプロピルアルコールで脱脂して、シーラーを塗り、液体ガラスを塗ります。ダボやダボ穴にもしっかり入るように。本来の塗装はこのまま乾くのを待ちますが、ここから接着を試みます。
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クランプで接着面に隙間がないよう、そして、液体ガラスが接着面全面に広がるように。24時間、乾燥させました。
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次の日見てみると、うまく接着できたように思います。液体ガラスが垂れてしまったところは、削り落とすので大丈なはず。
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今日はここまで。
次は、これをサンダーで仕上げて、80度のお湯に4時間漬け込み、その後、液体ガラス塗料の溶けた水に同じ時間漬け込む、という工程。このお湯で、接着面が剥がれてこないか、剥がれなければOKで、剥がれてきたらもう一度ハトをCNC加工し耐熱温度の高い接着剤をつかうことにします。